novel

ライトノベル読み同士で馴れ合うための20の質問

1.ライトノベルを読みはじめたきっかけは?(最初に買ったライトノベルも併せて) たぶんまだ十歳やそこらの頃であったように思うが、友人の親戚の家で『魔界水滸伝』ノベルス版と出会ったことか。水滸伝ってついていたのと、あと永井豪の表紙が気になって手…

伝奇としての『煙草と悪魔』

http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card163.html 芥川の『煙草と悪魔』が伝奇的にも素敵である、というか伝奇病の香りがする、という話を聞いて再読。ちなみに、つい最近「視点と人称」という話をする時に持ち出そうとしてやめた、のでその時に読み返し…

涼宮ハルヒの溜息

キョンとハルヒのラブラブな小説が読みたい、とのたまっている方々は『涼宮ハルヒの溜息』を読んでいないのだろうか。じゃなくて読むといいと思いました。なんとなれば、 http://www.tatsuru.com/diary/yogiri/yg0111.html 私たちは他人の語る理路整然とした…

早見裕司『メイド刑事(デカ)』

ああ、馬鹿だ。 いい感じでB級というか時代劇。『スケバン刑事』へのオマージュ、と称されていますが、むしろ時代劇かいっそ『快傑ズバット』あたりのノリで。「メイドの一里塚」のムチャ具合とか特撮じゃないとありえねえし。あと「あまつさえ」って言いま…

荒山徹『柳生薔薇剣』

主人公が女性の柳生剣士(もちろん荒山徹の創作)であるとか、友景がちょっとしか出ないとか、荒山徹にしては地味だとか、色々とお聞き及びのことでしょうが、そんなことより本書は宗矩の魅力満載なので、もうそれだけでおなかいっぱいというか。 まあ普通に…

隆慶一郎『吉原御免状』

メインヒロインが九歳でした。でサブヒロイン三人同時攻略。これなんて昔のエロゲ。あと、吉原だから、に留まらず、ほとんど魔力補給エッチみたいな強引さでエロが入る。過去視のために八百比丘尼とヤっちゃう、なんて何事かと思いましたわよ。 それにしても…

古橋秀之「ド・マリニーの時計」

ザ・スニーカー4月号の。今頃読んだ。 そういえば「招喚」になってた。『機神胎動』では「召喚」だったのに。あれ読まれたのかしらん、まさかね。 九郎ちゃんがなんかよかった。ちょっと『ある日、爆弾がおちてきて』に出てきそうな男の子で。アルに協力する…

ブライアン・ラムレイ『地を穿つ魔』

門の鍵の子らを止めた賢者の力は届くまい。 セラエノの知識を駆る盲目の賢者は、何処に封ぜられているのか。 人類が生み出した対邪神組織は、未だ結成すらされていない。──『斬魔大聖デモンベイン』 そんなわけで、その「人類が生み出した対邪神組織」がよう…

荒山徹『魔岩伝説』

ネタバレします。 仏力ビーム? 最後の最後、あの宝塔は実は蓄積せし仏力を放つための砲塔、なんて話がいきなり出てきます。隆慶一郎や山田風太郎の名が挙げられることが多い荒山徹ですが、霊的要素の扱いはむしろ古橋秀之だと想います。このままでは仏性を…

荒山徹『魔風海峡』

偏った感想を書きます。原作に忠実なレビューは以下リンク先を。 http://internet.kill.jp/d/200601.html#d03_t1 http://www.so-net.ne.jp/e-novels/hyoron/syohyo/72.html だ、大朝鮮帝国!? というか半島英雄伝説。 本書の真の主人公は、腐敗した李朝を打倒…

人称と視点

複数の視点があれば三人称、ではなく、人称と視点は別モノではないかと。 ちなみに私の「人称」「視点」の用法は中島梓『小説道場』に全面的に依拠しています。こちらを参照。例えば「三人称・一人の視点」は一人称に極めて近いのですが、それでも別物である…

竹宮ゆゆこ『とらドラ!』

今度は三人称だ! もっとも、最初と最後を除けば「三人称・竜児の視点」で一貫しており、竜児の一人称に限りなく近いとはいえる。だが三人称であるので「竜児の(まだ)知らないこと」を語ることができる。それどころか、この世界の誰もまだ知らないことさえ…

『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』

ぎゃー! ぎゃあ、なんちゅう感想があるか、とは思いますが。 ネクラ少女のモノローグがぐさぐさ刺さる。ええいこのネガティブお姫様! いーたん女の子バージョンかい! お前は俺か! もちろん僕はネクラ少女であったことは一度もないのだけれど。 ぎゃあぎ…

長谷敏司『円環少女(2) 煉獄の虚神(上)』

メイゼルたんは相変わらずのド変態でした。クラスメイト(委員長・眼鏡っ娘)の泣き顔にハアハアしてるんじゃありません。 彼女にとって「好き」とはつまり、泣き顔が見たい、屈服させたい、というものですが、ならば、「好かれたい」という欲望はどのような…

ライトノベル読みに本当に聞いてみたい10の質問 Ver.1.5

1.尊敬するライトノベル作家は? うえお久光。なんていうか、安定を嫌う作風が。2.あなたの人生に影響を与えたライトノベル作品は? 人生にってほどのは、正直ない。自分の人生にほんとうに影響を与えたものなんてわかるはずもないし。3.読んだけど生…

小河正岳『お留守バンシー』

力の抜けるタイトルがもう、大好き。 とりあえず、それだけは声を大にして言いたい。いや、なんか一部で評判悪いみたいなので。 本篇もタイトルに相応しく、イイ感じに力が抜けています。そのくせ油断するとホロリとさせやがるぜこんちくしょう、というニク…

杉井光『火目の巫女』

淡々とした筆致で語られる純和風異世界ファンタジー。オビの橋本紡の評言に「電撃らしくない」とあるが確かにそうで、思い出したのは荻原規子の勾玉三部作と、それから後宮小説あたり。 久々に和風ファンタジーの雰囲気に耽溺することができた。ひとつには登…

支倉凍砂『狼と香辛料』

地味なタイトル萌え。 今の僕には神様が足りない、ケモノ耳はもっと足りない、という事情により購入。そういうこともあります。 悪くはないんだが、うーん。 けっこう言われているが文章がひどい。読んでて頭痛くなった。あと言語感覚もかなり疑問で、語の選…

隆慶一郎『柳生非情剣』

イン殺さんのを読めばそれでいいと思いますが。 というわけで、これは史実である──。そう言ったのは『修羅の刻』の川原正敏である。 そういうヤな確信が全篇に満ちていてなんとも気持ち悪い/気持ちいい。 それにしても、歴史上の人物に対する個人的な好き嫌…

荒山徹『十兵衛両断』(新潮文庫)

やりすぎだッ! イン殺さんの紹介が十全だと思います。なんか付加えることないや。 感想? 作者の人は柳生と朝鮮が好きすぎると思いました。あるいは海峡が。 伝奇とは海峡にあり、というのが荒山徹の伝奇論で(光文社文庫『伝奇城』参照)、この方の柳生愛…

http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20051121#1132601759 関連してメモというか連想というか。 個人的にはモノーキーの、 女の子がおしぼりでわきの下を拭くなんてされたら、感動する準備もできやしないじゃないですか。(http://blog.goo.ne.jp/kamimagi/e/52…

眩暈感覚

中村九郎『黒白キューピッド』。視点を固定しない。各キャラ、神、作者(中立的な「描写」ではなく、あからさまに手を感じさせる「修辞」を行う主体としての?)、マクロ、ミクロ、遠くから、近くから、共感的に、茶化すように、キャラの心情を先取りして説…

谷川流『ボクのセカイをまもるヒト』

谷川流といえば妹であるわけですが、姉を描くとこうなるのか、という妙な納得感が。 作中に溢れるわりに大して意味もなさげなメタフィクショナルな言辞は、なんだろ、つかこうへい? そのへん中島梓『文学の輪郭』からなんか引こうと思ったが本が埋もれてい…

電撃hp Volume.38

・うえお久光「ラブレターズ」 微妙に太宰治ライクな饒舌体がとりあえず読ませる。内容はあえて言えばツンデレ幼馴染によるモノローグで、そして「デレ」とは往々にして、モノローグにおける内面の語りにさえ登場しない、決して自らおのれを語ることのない属…

谷川流『電撃!! イージス5 Act.II』

あろえ派なのでちょっと泣。あろえ的には、ひーくんならお兄さんで欲しい、ということなのでまあいいです。というか、お兄ちゃんで欲しいんだよ、という言い方が好き。あと「猫をどうにかする仕事がいいですわ」とかも。どうにか? 特に語られるべき作品では…

柴村仁『わが家のお稲荷さま。』(5)

昇はそろそろ自分が三槌の当主だということを忘れていて(まあ最近知ったばかりだけどそもそも)、つまりそれはクーがなんでここにいるのか、ということも忘れているということになるわけで、それで昇はクーに謝るんだけど、狐のほうはけっこう愉快そうにし…

たまには脊髄反射的に。 《成田の群像劇を楽しめるかどうかは最終的には、まったく無関係に存在する全ての要素が、終盤において一つの物語、一つの真相へと収束していき最終的に世界や事件の全体像が明らかになる、という過程にカタルシスを得られるかどうか…

追記

登場人物のネーミングについてのメモ。(参:http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1118468459/)・広崎、長島。これは広島、長崎の並べ替え。ピカリはまあ、ピカ。 ・高峰真琴、小暮慎一。これは単純に「高」と「小」だろう。真琴はKanonの沢渡真琴…

古橋秀之『ある日、爆弾がおちてきて』

至福。なにこの完璧さ。 小説技術がむやみと高く、もうこのままお手本として使えそうなぐらいです。小説書き志望はとりあえず全文書き写すとよいと思いました。金原ゼミ出身者は違うね! つっても僕が金原ひとみなど読むはずもなく、というか他には秋山瑞人…

竹宮ゆゆこ『わたしたちの田村くん』『わたしたちの田村くん2』

発売直後に読んではいたんだけど、感想書くにはこのくらい時間がかかりますよ、というわけ。・『わたしたちの田村くん』 田村くんが走る話。 どうやったって、三年前の松澤のところへ駆けつけることはできない。いくら走ったって間に合わない。そしてまた、…