電撃hp Volume.38

うえお久光ラブレターズ
 微妙に太宰治ライクな饒舌体がとりあえず読ませる。内容はあえて言えばツンデレ幼馴染によるモノローグで、そして「デレ」とは往々にして、モノローグにおける内面の語りにさえ登場しない、決して自らおのれを語ることのない属性だ。ツンデレ語ることができるか。それは読者によって代弁されるのである。というのはまあ戯言ですが。
 でトリッキーなキャラと行動、『ブラウン神父』リスペクト(ってほどでもないけど)の逆説、と一筋縄で行かないあたりがまあうえお久光なのですが、というかこの作家変だよ。なんで恋愛オンリーの話でそうなるのだ。あと蛇足ながら、あらかじめ「この事件で私は傍観者だった」と断っておくのも巧い。
 短篇集出さないかな。

古橋秀之「守ってくれる? アダムスキー
 ネタバレします。

 叙述トリックです。比喩か婉曲表現かと思えば文字通りの意味だったり、通念通りの形容かと思ったら違ったり、という引っくり返し方がうまい。