novel

森瀬繚・静川龍宗『うちのメイドは不定形』

僕たちが食事をとっている台所には、一般のご家庭ではあまり見かけない調度品、ホワイトボードがある。テケリさんがやってきた翌日にホームセンターで急遽購入したもので、二人が一緒に暮らすためのルールや、学校の僕に連絡する方法など、僕が作ったテケリ…

竹宮ゆゆこ『とらドラ10!』

とはたぶんあまり関係のない話。 風と木の詩読み返しちゃったよ、とはみのりんの弁であるが、僕も読み返してしまっていた。あと『終わりのないラブソング』と『ハード・ラック・ウーマン』と、『妖精事件』の最初のへん(というか「家出14)」。14歳の女の子…

片山憲太郎『電波的な彼女』

2005年の夏のことだ。たまたま小倉駅で立ち読みした『ライトノベルキャラクターズ完全ファイル』(たぶん)の堕花雨に対する作者コメントが随分とみもふたもない代物で気に入ったので買ったのが最初だった。主人公専用のカウンセラーみたいな感じ、とかそう…

http://blog.livedoor.jp/himasoku123/archives/51432271.html 構想十年! 荒山先生がとうとうあのネタを! テコンVとか出るかなあ。

逢空万太『這いよれ! ニャル子さん』1〜3

うむ、這いよりたまえ。存分に這いよるがよいぞ。と思ったが本篇にクローリングする描写なんてあったっけ。ああ、アレか。夜這い。 ところでニャル様といえば「這い寄る混沌」であり間違っても「這いよる混沌」などとは表記されないのだが何故に「這いよれ」…

杉井光『さよならピアノソナタ encore pieces』

時はすべてを癒す。ナオと真冬がひっついてしまえば、女の子二人と男の子一人が失恋する勘定になる。だが恋が成就しなくても人は生きてゆける。愛してその人を得るのは最上だが、愛して得られないことはその次によい。別に? 好きなものは好きだから好きでい…

虚淵玄『Fate/Zero』

昔mixiに書いた感想の焼き直し。ちなみにタイトルから内容に至るまでhttp://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/kaien/20080906/p2のパクリ。 夜叉姫伝をヌルくした感じ──というかナスキノを陰惨淫靡方面にシフトして人情バナ強化、なんてのは単なる菊地秀…

うえお久光『ジャストボイルド・オ’クロック』

桂英澄の「箱根の太宰治」(『太宰治研究』1、昭三十七・十)によれば、昭和十七年夏、桂が太宰を訪れた折に聞いたことばとして、次の一文が草されている。〈芭蕉は、わび、さび、しおりといっただろ。最後に、「軽み」ということをいったんだ。新しい芸術の…

うえお久光『紫色のクオリア』

とりあえずメモ。 ありえないことに、ヒジョウに真面目(と書いてハードボイルドと読む)。いや「ラブレターズ」があったか。しかし俺らのうえお久光の美質は、あのジャストボイルドな感じではなかったか。別に作風を固定すべきだとは言わないが。その意味で…

冬樹忍『たま◇なま 〜キミは、何故生きている〜』

最終巻。どうかお幸せに、という以外に言うべきことはないように思う。あるいは、僕は素晴らしいラノベを読んだ、と友人たちに伝えてください。 わたしはおまえに人間にしてもらった、だから感謝している、とあの鉱物娘がいう。数万年を生きる恒久を、ちっぽ…

杉井光『さくらファミリア!』3巻

神様でさえ理性には束縛される、とブラウン神父はいった。より正確には、地上においてただ教会のみが、神そのひとでさえ理性に束縛されるのだと主張しうる、と(ブラウン神父の童心)。君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね? 教会に決まって…

清水マリコ『HURTLESS/HURTFUL』

えーと、『男であることの困難』(小谷野敦)? ストーカーを救えるのは文学だけである、と小谷野敦はいった。 レイプ犯が救われる話、と聞くと嫌でも連想する。救えぬ者だって救ってみせるのが文学です。 清水マリコの男の子はどうしようもなく可愛い。女体…

杉井光『神様のメモ帳』

たとえば世界では三・六秒に一人、子供が死んでいる。それはぼくのせいなんだ。そうアリスは言った。もし自分に十分な資金と手段があれば、死なずにすんだ子供たちがいる。ぼくは聖人じゃない、それはただ単純に、だから可能性の問題なのだ、と。 そんなこと…

荒山徹「柳生大戦争 第一部 剣神降臨ノ巻」(『KENZAN!』第一号)

たとえば荒山徹は『魔岩伝説』で次のように書いている。 「天帝の孫、檀君さまが今から四千年以上も前に朝鮮という国を闢(ひら)きました──笑わせるわ、朝鮮の始祖が檀君だなんて。檀君神話はね、一然(イルリョン)っていうお坊さんが書いた『三国遺事』に初め…

竹宮ゆゆこ『とらドラ3!』

襲撃から始まり擬似家族を経由しやっと恋に至る、という予兆がまあ見えなくもない3巻。でもこれ、ブラコンとシスコンの兄妹だか姉弟が相手の気を引こうとする話、でも成り立つといえば成り立つ。むしろ、血縁関係がなければラブコメ。 で、竜児は私のだ、と…

ヤマグチノボル『ゼロの使い魔』 人名出典一覧(改)

唐突に。とっくに誰かやってるかと思ったけれど、Web上に見当らなかったので自分で作ってみた。 どうやら一部を除いて17世紀ヨーロッパの実在の人名、というか『ダルタニャン物語』に出典を持つようだ。 かなり適当なのであまりあてにしないで下さい。なにし…

喬林知『今日から(マ)のつく自由業!』ほか

とりあえずシリーズ三巻まで。 せっかくだから女の子向けの異世界トリップものもチェックしておこうと。 文句なく面白い、読める。面白い、ってのはつまり笑えるってほうの。 主人公がというか作者が野球マニアらしく、異世界で誰かと出会うたびにいちいち「…

デュマ『三銃士』

角川文庫の竹内猛訳で。アラミスがリシュリューのこと「赤頭巾」呼ばわりしてたけど、おとぎ銃士は何か関係が。 金策と葡萄酒と賭け事ばかり。スペイン産の葡萄酒が飲みたくてたまらない。そういえばゼロの使い魔も読んでいるとやたらとワインが飲みたくなる…

ヤマグチノボル『ゼロの使い魔』1〜5

不屈の魂を持つ少年少女が魅かれあう話。健全だなあ。 つまり、少年からトーチにレベルダウンしたり、フレイムヘイズから少女にクラスチェンジしなきゃならない連中に比べれば、サイトとルイズはあまりにも自明に男の子であり女の子であるわけで。シャナと悠…

片山憲太郎『紅〜ギロチン〜』

http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1128958685/ 680 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2006/07/25(火) 10:54:12 id:zbQn8Yq9 紅〜ギロチン〜もうラーメン屋になれよ。ロリコン。 唐突に片山憲太郎について語る 紅真九郎と堕花雨…

谷川流『ボクのセカイをまもるヒト』(2)

とりあえず夏葉薫さんによる書評を参照のこと──というか以下はだいぶネタが被った。でもまあ書いちゃったし。 神林長平なら『プリズム』あたりですかねこれ。そろそろ、神林長平が何を書いても神林長平である程度には、谷川流は何を書いても谷川流なのである…

モンテ・クリスト伯

岩波文庫の。 伯爵すっげえ吸血鬼っぽい! エデが下僕かと思ったらむしろ小娘! デコチュー! 萌え! そんな感じ。アルベールくんのアホっぷりがいかにも福山潤の声が合いそうでした。あとアニメ『巌窟王』の伯爵のキャラデってちゃんと原作を生かしてるのね…

谷川流『涼宮ハルヒの憤慨』

長門さんの小説読んで「THE WARMTH OF HUMAN II」(昔麻枝准がE-Loginに載せていた『MOON.』の外伝)を思い出した。 「もう一年近くハルヒを見ていればそのくらい解る。あいつが好きなのは幽霊なんかではなく、幽霊をみんなで探すという行為なのだ。」(p296…

司馬遼太郎『果心居士の幻術』(新潮文庫)

短篇集。とりあえず「朱盗」がえらく面白かった。めがっさ面白かった。信じられないくらい面白かった。三度も書いてしまった。 さて、司馬遼太郎といえば司馬史観であり国民作家であるわけですが、一方では初期忍法小説もあり、ことに「忍者には上忍・中忍・…

竹宮ゆゆこ『とらドラ2!』

リサイクルゴミ用のバケツを枕のごとくはね上げる 虎の恐るべき脚力 ごめんなさい言ってみただけです。 逢坂が普通に可愛い。いつもギラギラしていたあの子が随分と落ち着いたというか。人間らしい食生活と住環境を取り戻したせいでしょうか。逢坂が、竜児と…

荒山徹インタビュー

荒山徹『柳生雨月抄』出版に際してのインタビューが公開されていたのに気付きました。なお、下記リンク先はけっこうネタバレがあるので、できれば読了後にどうぞ。 ・今週の本棚・本と人:『柳生雨月抄』 著者・荒山徹さん−学芸:MSN毎日インタラクティブ つ…

森鴎外『佐橋甚五郎』

http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/card686.html そんなわけで荒山伝奇のルーツをチェック。ビバ青空文庫。「実は正体は××だった」「実は生きていた」「とりあえず海峡渡っとけ」メソッド。 柳生家の家譜等では久三郎純厳は朝鮮にて討死とあるが以下略、…

芥川龍之介『奇怪な再会』

http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card77.html ノベルゲーム風テキストビューアで読んだらえらくハマった。 誰も会いに来てくれないなら東京なんて森になってしまえ(違うか)。 『伝奇ノ匣』に収められていたりもするけれど、客観的には不思議なことは…

荒山徹『魔岩伝説』

再読。それというのも『柳生雨月抄』に朝鮮半島の地図が載っていたせいで、あれ見ると初期三作(『高麗秘帖』『魔風海峡』『魔岩伝説』)を読み返したくなるのです。 この頃までは大量の参考文献が巻末に並んでるんだけど、それでもやっぱり「朝鮮忍法には北…

荒山徹『柳生雨月抄』

やりすぎ。やりすぎったらやりすぎ。 柳生友景が菊地秀行の美形主人公みたいなことになってました。というかあれよりひどい。 ハードカバーは高いので買おうかどうしようか迷わぬでもなかったのですが、目次を見たら耐え切れなくなって買った。 さて「雨月」…