2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

緑玉板

エロゲライターになるための勉強法を読んでいてふと思い出し、藤木隻氏のサイトを久しぶりに読む。というか、「藤木のゲームシナリオ」ね。 おおおおお。「指を制す者はゲームシナリオを制す」って、「指先の感情移入」より先だよね? メモ2。過剰装飾、独…

『AIR』TV版 #12

そらの飛翔が随分と力強い。小野大輔の確信に満ちた語りもあり、前向きである。あの日の少女の背中を追いかけたりしないし、空が恐いわけでもない。「そら」の語りを原作と比較してみよう。アニメ版はこう。 そして、いつしか僕は空を見ていた。 いつだって…

『AIR』TV版 #11

なにこの実相寺。 いや別に『KEY THE METAL IDOL』におけるますなりこうじとかセラムン無印の幾原邦彦、でもいいのですが。そういえばジェネレイターガウル#7も三好一郎(で演出助手が山本寛)。なんかそういう回ってあるでしょ? 普段と毛色が違う絵作りが…

『AIR』TV版 #10

ああ、往人と観鈴が幸せそうに抱き合ってますよ! だからそこでいちいちゴールだの何だのという御託を往人さんに言わせるんじゃねえ。キャラクターを物語のための小道具にするなってんだ馬鹿。

『AIR』TV版 #9

神奈が。海に。 初めて見る海をびっくりしたように見つめ、つまさきに触れる水の感触にちょいビビリ入ったりなんかしちゃったりして! つまりそれはぼくらにとっても夢であったさ。そういうのを臆面もなく絵にされた日にゃ。 たぶん唯一のキスシーン(しかも…

『AIR』TV版 #8

山本寛にはずれなし。 もちろん原作はばっさりとカット。じっくりと描写すべき必要なエピソードは押さえつつ、反復すべきものは反復する。まあ、このくらい見せていただければ、あとは観ている方で補完できる。一応言っておくと、原作で神奈が柳也に怒ったの…

『AIR』TV版 #7

「あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが/黒いフロックコートを召して/こんなにも本気にいろいろ手あてもしていたゞけば/これで死んでもまづは文句もありません」(宮澤賢治「眼にて云ふ」) 往人さんはかっこいいし、優しいし、今にも泣きそうだし…

『AIR』TV版 #6(その2)

原作と異なり、往人が駅前に来たのは、発作を起こす観鈴から逃げ出したためだ。そして美凪と往人が笑い合う声を、観鈴は隠れて聞いている。何しろアニメなので、往人の視点からは見えないものも登場させることができるのである。 なぜか往人はみちるからに「…

『AIR』TV版 #6

らぶらぶで今すぐにでも胸に飛び込んで行きたい遠野さんとみちるの交わす夕暮れの屋上での対話は、場を共有する主人公の存在を半ば無視して強引に進行する。彼の存在は、その視野の中でしか世界が生存し得ないギャルゲーという表現のフォーマットに対する義…

『AIR』TV版 #5(その2)

堤防のシーンが気になったので試しに計ってみたら、1分と5秒かそこら、二種類のカットだけで持たせてました。一つは堤防に坐る往人の上半身を、これは完全に真横から。もう一つは全く同じ構図の観鈴、と極度にシンプル。数秒おきにカットが切り替わりはする…

『AIR』TV版 #5

たとえば観鈴を映す時にとくにそうなのだが、構図をほとんどいじらず、カメラを固定したまま人物なり情景なりがじっくり映される。すごい長回しってんじゃなくて切り替わりはするんだけど。まるで、そこにあるものをそのままに映すというか、実際にあるもの…

『AIR』TV版 #4,5

そんなわけで、件のシーンがリテイクされてます(違)。こっちには文句がありません。原作をきちん解体し再構成しているように思う。 とりあえず、そこで往人のモノローグは何によって代替されているのか、という方向で考えてみると、往人は冒頭からなにやら…

『AIR』TV版 #4(その3)

「おまえは笑ってろ」のシーンについて補足しておくと、往人が自分の物思いを告げずにちょっと見当外れなこと言っちゃうわけで、観鈴にはとうぜん往人の気持ちなんて理解できるはずもない、というのが原作の同シーンのキモです。たぶん。 過剰な物思いがほと…

谷川流『絶望系 閉じられた世界』

『ジサツのための101の方法』かと思ったら『嬌烙の館』だった、みたいな。あと死神たんはわりと普通に萌えました。口調がちょっと『語り手の事情』のルーみたいで。根っこは逆だけど。 実験作とは言っても野心的という意味のそれではなく、思いつくままに書…

柴村仁『我が家のお稲荷さま。』4

満ち足りた。 そんなわけで、夏休みの次は神無月が通り過ぎる、つまりはただそれだけのお話。十二歳の少年は日々変わってゆくのです。 言葉にならない機微、あるいはありふれた話だからことさらに言葉にする必要も意味もない、そんな機微をうまくとらえた作…

『AIR』TV版 #4(その2)

がんばって最後まで観た。 さて、TV版の基本方針は「原作のエピソードを残しつつ観鈴寄りに一本化」である。つまり、観鈴以外との恋愛譚に配されていたエピソードが、恋愛抜きで登場する。原作で「好きな人」と言っていたところは「友達」になっているが、見…

『AIR』TV版 #4

僕にとって、往人が観鈴に「とにかく笑ってろ」というシーンは、たぶん原作のなかで最も思い入れのあるシーンのひとつだ。原作者にとってもある程度はそうであるに相違なく、とりあえずイベントCGが用意されている。 それにしても、往人は内心どう思っている…

『AIR』TV版 #3

観鈴ちん萌えキャラ化計画は順調に進行中のようです。いや、真面目な話、原作ゲームをプレイしていて、観鈴ちんに朝ごはんを作ってもらって、こんなふうに萌えたかね。 まあそれはそれとして。 画面構成で、人物をぽつんと小さく配して(時にはすみっこに)…

『AIR』TV版 #2(その2)

それはそれとして、往人さん見まくり。つまり、ゲームではAIR篇までお預けだし。アニメ化というのはつまり、最初から往人の姿を見ることができる、ということでもある。 でアニメでは固定した視点というのは存在しないから、往人をけっこう外側から(時には…

『AIR』TV版 #2

完璧だ……(滂沱と涙を流しながら)。 とりあえず動画──というかキャラの芝居が凄い。往人がポケットから人形を取り出す時にちょっと手間取る仕草とか、晴子が片手でボタンを外すとか酒瓶を一瞬取り損ねるとか。言い出せばきりがないくらい。魚採りが水の掛け…

『AIR』TV版 #1(まとめ)

で、#1の原作からの変更点をまとめておくと、「空」(高み、鳥)への志向がほぼ観鈴一人に代表・収斂されていることと、ある程度同じことだが、往人のヤバげな内面が(導入の段階では)隠されていること、となります。一人称のノベルゲームとアニメ、という…

http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20050404#p3 誤爆かもしれないけど一応。 いや、モノローグや台詞を増やして欲しいわけじゃないんですけどね。そう読まれてしまうんじゃないかと心配だったので、それなりに念を押したつもりだったのだけれど。むしろ…

『AIR』TV版 #1(その2)

さて、媒体の差もあれば尺の問題もあるから、アニメ化にはどうしたって、原作の編集は不可避だ。そして編集とはしばしば意味やニュアンスの変改を伴う。つまり、『地獄の黙示録』と『地獄の黙示録 特別完全版』では、事態の様相もカーツの人物像や役割や物語…

谷川流『涼宮ハルヒの動揺』

そろそろ童心とか秘密とか知恵とか不信とか醜聞とか言いたくなるね。つまり、探偵モノのシリーズが続くのと同程度には続くのが当り前で、もはや終わることの方が特別であり事件である。いつ世界が終わってもおかしくないあの状況下で、これはいっそ奇跡的な…

『AIR』TV版 #1(その1)

かなり前に観た。とりあえず原作云々はわりと抜きにしてフィルムとしての感想を述べますが、まず動画の使い方が間違っている。というのは主にキャラの芝居についてなのだが、顔や手(表情とジェスチュア)ばかりに意識が集中しているようで気に食わない。も…

>AIR その3

なんといいますか、TV版AIRには「観鈴と出会うまでのシーン」がほぼ存在しないので、id:imaki:20050401の記述は観鈴と出会った後を対象とします。というか、往人と観鈴が堤防で二人きりのシーンでもなきゃ、敢えて文句を付けたりしないんですが。汽笛とか船…

アニメ版AIRの海

海辺の町を舞台にした作品であるにもかかわらず、ゲーム『AIR』の画面からは海がほぼ排除されている。海とは、すぐそこにあると語られるが殆ど目前に姿を現さぬもの、いつか辿り着くべきもの、であった。だから潮騒のSEだってタイトル画面でしか聞こえない。…