『AIR』TV版 #1(その1)

 かなり前に観た。とりあえず原作云々はわりと抜きにしてフィルムとしての感想を述べますが、まず動画の使い方が間違っている。というのは主にキャラの芝居についてなのだが、顔や手(表情とジェスチュア)ばかりに意識が集中しているようで気に食わない。もうちょっと自然な挙措というか意識せず行う立ち居振舞いというかそういう風には行かないのかなあ。
 普通は動かし方を計算に入れてキャラデを行うけど(ゴルドラン!)、原作に似せることを第一にしちゃったので、動かし方がもうひとつこなれていない、ということか。なお、観鈴の走り方とか転び方は敢えてマンガチックにしてるけど、そっちは巧いと思う。というか、あの転び方は好き。

 カット割が派手というかうるさいのでもひとつ風情がない。それ以外にも、たとえば人物の位置関係(空間的な)が判り辛い。観鈴がどっち向いて喋ってるのかわからなかった。

 一本通して観ると、ちょっとテンポが生理的に合わない。山も谷もなく流れていって何も印象に残らない感じ。最後のナレーションはかなりセンス悪いと思う。

 もうちょっと抽象的な話をすると、往人が初対面の相手(少女たち)に対し、どの程度の距離感を持っているのか、とかそのへんがどうも掴みづらい。子供とはすぐ仲良くなる人なのかしら。原作のモノローグ削ったぶん(アニメでそのままやるわけには行かないし)苦しいところだとは思うが、もう少し何とかなったと思う。原作知らない人はどう感じるのかしら。

 とりあえず第1話に関しては、なんかこう、感覚的にアジャストしにくいアニメだなあ、という印象。直前に『菊次郎の夏』『あの夏、いちばん静かな海』ばかり観てたせいかもしれませんが。ついでに言えば大林宣彦『あの、夏の日』も気持ち悪かった(夏っぽい映画を色々観てたので)。大林宣彦はある意味不自然主義なので当然かもしれませんが。