『AIR』TV版 #1(まとめ)

 で、#1の原作からの変更点をまとめておくと、「空」(高み、鳥)への志向がほぼ観鈴一人に代表・収斂されていることと、ある程度同じことだが、往人のヤバげな内面が(導入の段階では)隠されていること、となります。一人称のノベルゲームとアニメ、という媒体の差や初見の客への配慮、を考えれば妥当な判断といえましょう。結果どうなるかといえば、乱暴な言い方をすれば原作では、語りの順番としても当初の優先順位としても、空→観鈴なのですが、TV版では観鈴→空と逆になります。何を言っているかわからないかもしれませんが。言わばわれわれはそこで、往人や作品のもつ空への志向を介さず、直接に観鈴と出会うことになります。要するに普通の萌えキャラとして。幸せなことに。
 最終的には同じ情報が与えられるとしても、主人公や視聴者を観鈴にどう出会わせるか、という点でけっこうな違いがある。個人的には、劇場版AIRの予告編に、ひとりで空を見上げている往人の絵があるのですが、ああいうのがちょっと欲しかったかな、といったところ。