隆慶一郎『吉原御免状』

 メインヒロインが九歳でした。でサブヒロイン三人同時攻略。これなんて昔のエロゲ。あと、吉原だから、に留まらず、ほとんど魔力補給エッチみたいな強引さでエロが入る。過去視のために八百比丘尼とヤっちゃう、なんて何事かと思いましたわよ。
 それにしても、主人公チヤホヤされすぎ。まあ周囲の人間が彼を優遇するのは、当然色々と思惑あってのことなんだけど、しかしどいつもこいつも、そうした思惑を越えたレベルの関心を抱くってのはどうなのよ。鼻持ちならねえ田舎者にしか見えないんですがこいつ。そもそも、人を斬ったことがないくせに当代随一の剣の達者とかいうフザけた設定だし。隆慶一郎先生はこの脳内最強剣士に何か疑問を抱かなかったんでしょうか。
 あと『かくれさと苦界行』も読んだ。荒木又右衛門がヤギューのシュゴシンですかそうですか。某剣豪伝奇エロゲ『二重影』で、荒木又右衛門が十兵衛の弟子なんてのは伝奇小説化の創作にすぎぬ、と切り捨てられてたあれですね。伝奇なので当然オッケーですが。
 そんなわけで、隆慶一郎先生につきましては、丹念に史料を読み込んでるようで、そのじつ妄想が大変にイタい、というよくわからない作家という結論に落ち着きつつあります。あと、隆慶一郎先生の善玉キャラがどうも好きになれませんというか、どう見ても秀忠とか宗矩の方が輝いている気がするがどうか。