支倉凍砂『狼と香辛料』

 地味なタイトル萌え。
 今の僕には神様が足りない、ケモノ耳はもっと足りない、という事情により購入。そういうこともあります。
 悪くはないんだが、うーん。

 けっこう言われているが文章がひどい。読んでて頭痛くなった。あと言語感覚もかなり疑問で、語の選択にはもう少し神経を使ってもバチは当たらないように思う。なんつうか舞台の雰囲気ってものが。
 そんなこんなで28ページ以降は斜め読み。そこまではけっこう読めた。

 言っておくが描写は光るものがある。ジャガイモ食ってるあたりは実にいい。そこでノミを発見してふと尻尾の話になる、というあたりのシークエンスなぞ、何気ない場面に世界設定とキャラクターの生活史の立体的な絡み合いを見せていて、もうシャッポを脱ぐしかない。あと、ホロの過去の断片的な言及も実にそれらしい。
 それだけに、デカい儲け話とそれにまつわるスケールの大きな陰謀、という部分に焦点が行きがちなのが気に食わない。なんかもっと描くべきことあんじゃん、という気がしきりと。

 あとほら、下級騎士の生活とか、熊が酔っ払っちゃう話とか、そういうのが一番うまいと思うので、そのへん活かせるような、ねえ。

 ああ、うん、ホロにメロメロ。きっと独身の根無し草の行商人・二十五歳男性、でなくともガード不可であろう、という程度には。