ブライアン・ラムレイ『地を穿つ魔』

 門の鍵の子らを止めた賢者の力は届くまい。
 セラエノの知識を駆る盲目の賢者は、何処に封ぜられているのか。
 人類が生み出した対邪神組織は、未だ結成すらされていない。

 そんなわけで、その「人類が生み出した対邪神組織」がようやくその片鱗を見せる、「タイタス・クロウ・サーガ」の一巻。
 前回は「邪神vs名探偵!」でしたが、今回は「〈邪神狩人〉対地底魔獣!」である。なにそのトレマーズ

 とりあえず邪神群を「CCD(クトゥルー・サイクル・ディーアティーズ)」と呼称したりするのがもうたまらん。きゃつらはもはや駆除すべき害獣──とは言わぬまでも、人類による組織的な対処の対象なのである。
 一方で、邪神がらみの事件の「報告書」みたいな形で、従来的なクトゥルー譚の短篇がまるごと埋め込まれていたりするあたり、芸が細かいというか。きゃつらは精神攻撃をよくするので、なんだかんだ言っても知らぬ間にコズミック・ホラー的状況に叩き込まれていて、間一髪で助かったり(このへんがラムレイ)する。