竹宮ゆゆこ『とらドラ10!』

 とはたぶんあまり関係のない話。
 風と木の詩読み返しちゃったよ、とはみのりんの弁であるが、僕も読み返してしまっていた。あと『終わりのないラブソング』と『ハード・ラック・ウーマン』と、『妖精事件』の最初のへん(というか「家出14)」。14歳の女の子が家出しないのはお金がないからです、というフレーズは十代の僕の聖句だった。というか今でもそうだ。
 だってあそこはわたしの家じゃない、お父さんとお母さんの家だもの、と安藤じゅりあは云った。子供には自分の家なんてない。家庭を「持つ」のは大人(の男)の特権であり、子供とはその一部として所有される側のことである。ここには根本的な非対称性がある。これは直接には解消不能で、だから、竜児とやっちゃんが和解するには、泰子もまた誰かの子供である、という回路を経る必要がある。もちろん人はしばしば、親の前ではいくつになっても子供だ。『日本一醜い親への手紙』には、81歳の「子供」の手紙が載っている。逆にいえば、大人、というのはつまり子供を前にした人間のことである。うえお久光の『It/ストラグル』を読めばわかる。
 
 何の話だっけ?