岡田剛『ゴスペラー 湖底の群霊』(ソノラマ文庫)

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/bunko/bottom.htm
 端的に言ってハックルボーン神父がシックスセンス、十三歳の少女の日記つき。あと、『ニキータ』とか『レオン』が好きな人向け。マッチョで朴念仁な神父さんが勝気な女の子に振り回されたり生きることを学んだりします。というか同居してます。神父さんは地元の警察に頼まれてエクソシストみたいなことやってて(たぶんヴァチカン非公認、というかほんとに神父かどうかも定かではありません)、怪我して帰って来たりするので女の子としては心穏やかではありません。

 ほんとうに許されないことをした時に、自分が苦しむことができるのを祝福のように感じることがある。私は許されないことをした。私は苦しみ、それだけが、許されざるを許す神の愛だと思う。だから、わたしは平気だよ。そう言って神父さんは笑います。何も変わらず、何も救えない、出来損ないのエクソシスト。あのレギオンの豚が飛び込んで死んだ湖の代わりをするだけ。

 あとはまあ、美樹ちゃんは十三歳の女の子で反抗期で言ってることは生意気で、でも育ての親の神父さんのことがただ好きでたまらないんだけど、神父さんはといえば、償いとかそういうの抜きに美樹ちゃんに向き合えない、そんなもどかしさが辛抱たまらん。あとこの作者は古橋秀之読んでるね絶対、とか。