『D.C.〜ダ・カーポ〜』 #1〜#4

 さて以前に清水マリコ『君の嘘、伝説の君』を読んだ時はReborn's DayのイヅタだのD.C.の頼子さんだのを思い出したりしたわけですが、『ネペンテス』だとKanonとやっぱりD.C.芳乃さくら、時間を止めて待っていた女の子になります。

 いい機会なので、まだほとんど観ていなかったアニメ版D.C.に手を出す。年中桜が咲き乱れる通学路を通り学校へ着くと、6年前と変わらぬ姿の幼なじみが待っているのだった。つまりはそういうことが平然と起こるような世界。昼休みに屋上に行けば姉妹で鍋をつついているバカがいるし、学園のアイドルはテレパスみたいに気が利く。不思議なことは平然と起こるが、たとえば清水マリコ(や天沢退二郎の「悪意のファンタジー」)のそれと異なり、世界に悪意は存在しない。だからといってうまくいくってもんでもない。

 で#1〜#4。ぶっちゃけ拙劣。これがどうやったら今なおMegamiマガジンの表紙を飾るだけの力を持つに至るのか気になる。なんだかんだでさくらのために観る以外の選択肢は僕にはありませんけど。あからさまに狙った言動もふと見せるマジな横顔も気になって仕方がありませんことよ? ふと見せるマジな横顔とはつまり他人の視線を意識しない(意に介さない)時の表情で、(いまだ語られざる)内面の表象である。見るものの欲望はそんなものに駆動される。ヒステリー化ってやつですね。