『護くんに女神の祝福を!』#1

「気持ち、有り余るんだよな」(ガンダムX#6)

 絢子さんの有り余る気持ちが過剰な現象/行動として表象されるのがたいへんによろしかった。そのためのビアトリスです。
 告白したとたん、そのへんの木がみんな桜になっちゃって*1いきなり咲き誇るとか。車のドアをひっぺがしちゃうとか、そういったやつがさ。
 もちろん『うる星』の電撃とか怪力に淵源を辿ることはできるんだけど、ただ違うのは、ギャグとして笑い物にするべきものとして出て来るのではなく、むしろほほえましさが先に立つところだ。
 というか、「これはギャグですよ」というエクスキューズ抜きで、衆目に晒されてしまうアンリアルな出来事やら異能やらが流通するのがラノベ的なリアリティですか。しのぶが怪力を発揮するのはただのギャグであり嗤われるべき出来事なのですが、絢子さんが車を投げ飛ばすのはビアトリス云々という裏付けがあるので普通に照れてるだけの微笑まれるべき出来事である、どちらかといえば。

 で、今後のお付き合いのしかたと告白の返事を聞くためにA4レポート用紙数枚にわたるアンケートみたいなのを渡しちゃうのと、それに護くんが律儀に返事を書いちゃうのが大変によろしかった。もちろんわれわれの常識からいえば、そんなことを大真面目にやってるのは奇矯というよりないのだが、対幻想と共同幻想は逆立するんだよ!

 えーと。やけに石ノ森章太郎っぽい学生服のボタンとかも気になるのですが、ラノベ的な繊細なオトコノコの起源やらそれこそ学園異能とかも含めて、それはまた別の話ってことで。

*1:というか、もともと桜の木だったのかどうかよくわかりません。