『OVERMAN キングゲイナー』

 そんなわけで、きょうはキングゲイナーの日なのである。
 実は昨年末ようやく全話観たのだが、楽しかった、という以外の感想がいっそ野暮と思えるほどに、これは楽しいアニメでした。
 とりあえず、恋するオトコノコ(メガネ男子)が好きなら観ないと損である、とは断言しておく。ゲイナー君はヒキコモリのゲームチャンプですが、線が細いなりに正しい男の子しててよろしい。病的な感じはしない。男の子はたいへん、とか、がんばれ男の子、とか、そのテのフレーズが似合う。ついでに女装も似合う。告白シーンは必見。

 あと、ロボットアニメなんだけど、コクピットで男女二人乗りというか二人きり、というシチュエーションが多くて幸せ。個人的には、アデット先生がゲイナー君の首っ玉にかじりつくのが好きです。

 色々好きなのでいくら書いても足りないのだけれど、細かいところでは、

「あれ、まだ出世を諦めてなかったんですかい」
「出世すれば、このカテズで好き放題遊べるじゃねえか! うまいもん食えるじゃねえか!」
「食いもんかあ……。酒も欲しいなあ」

 そういう、敵役のザコの台詞も泣かせる。うろおぼえですが。
 ちなみにミイヤはこう歌っている。

酒だけが命で 祭だけなんて
そりゃアッホ そりゃアッホ そりゃそりゃそりゃそりゃ
アッホよー

 ……返す言葉もございません。

 この作品は、最低でも二つの点で魅力的です。
 ひとつは、どれだけ魅力的な「絵」を提供できるか。もうひとつは、どれだけ喚起力に富む言葉を用意できるか。 シベリアの大地。はてしない氷原。そこを、巨大な都市ユニットが連なって進む──そんな「エクソダス」のビジョン。バザールもあったりして。
 全篇をおおう「エクソダス」というキーワード。いやおうなしに日本を思わせる「ヤーパン」。説明抜きに用いられる用語の数々。
http://d.hatena.ne.jp/motonaga/20051210

初っぱなから色んな陣営がガチャガチャ動いてて状況がよく判らなかったけれど、とてもグルーヴ感があって愉快痛快。アニメってこうあるべきですよね。スカラーはいいんだ、ベクトルを感じろ! みたいな。問答無用で首根っこを捕まれたような感覚が良い。

 というのは『リーンの翼』評なのですが、たぶんキンゲにもそのままあてはまる。

 あとはそう、敵陣営のヒロインが死なないし盲目にもならない、ということを信じて観るが吉。