清水マリコ『ゼロヨンイチナナ』

 明智くん好きすきー。


 清水マリコの描く男の子の魅力について誰か言語化してくれないかしら。妹や弟がいて、年下のガキのあしらい方を心得ていて、不思議な話に対して適切な距離が取れて、ごはんがつくれる。そんな感じ。あんまりかっこよくないくせに、妙なところでお兄ちゃんな感じの。


 仮説としては、「こんな大したことなさそうな(ちょっと変わってる、という程度の)男の子の魅力に気付いているのは自分だけにちがいない」という感じがするから、とか。内田樹『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)p19-35参照。「自分だけが気付いている魅力」によって「それに気付く自分」の固有性と唯一性を担保し生を肯定する。私がいなければ、あの人のほんとうの魅力は知る者はいなくなる→だから私は生きなければならない、というロジック。逆にいえば、その人に対しての、世間一般からの否定的な評価、が前提。


 イチナナについては、ひと夏の不思議体験と、おねいさんとの出会い(淡い恋)、で充分かと。勿論、変な双子、教団E、謎のルールの試験、バロック屋っぽいのもあり、つまり清水マリコ特有の世界ってやつなんですが、これは言語化しかねる。


 例によって、もったいないから少しずつ読んだ。