『神無月の巫女』、「AICロボットアニメ」(その2)

 例えば初代マクロスあたりは「快楽要素の寄せ集めただけ」みたく東浩紀に言われたりするけれど、現代の我々には単に真面目なSFアニメに見えかねない。つまりそこには、何故にアイドルソング宇宙戦争が不可分であるかの説明があったし、地球人にとってありふれたものが、単純な戦力では圧倒的優位にある異星人相手の切り札となる、というウェルズ『宇宙戦争』的な正統的な発想もあれば、共産圏とのカルチャーギャップという時代的なリアルもあった。要するに言い訳が機能していた。がイクサーは単に「好きなトクサツを再現したい」という欲望と、とりあえず美少女と巨大ロボット、という快楽要素の寄せ集めであり、言い訳への志向をそもそも欠いていた。まあマクロスの言い訳も快楽要素といやそうなんだけど。ともあれ、好きなモノだけで世界を構築する、という態度が宣言されていた。『神無月』はそういう、わりと根本的な態度でイクサーだと思います。だから真面目な(説明を求める)ひとが観るとつい「なんでやねん」と突っ込み続けるよりないネタアニメ、にしかならないわけで。

 一応もうひとつ言っておくと、イクサーが、元来は男の子でやってた話(キカイダーハカイダー、巨大ロボット)を女の子に置換えてやっちゃってた、というやつ。『神無月』は、結局は拳で語り合うオレ達の聖地、みたいな方面に言っちゃうあたりがそのへんの反復に見えなくもない。初美を殺してボクも死ぬ、と比べるとこう。思うに俺は東葉月が好きすぎるんですが。

 あと介錯なのでウテナレイアースは出てこなきゃ変っす。姫宮だし。介錯先生の同人誌は、マンガよりも(失礼)、自分が好きなモノについての語りが尋常じゃなく面白かった覚えがあります。そこにシビれる憧れ……るかどうかは微妙だけど。