迷い猫オーバーラン! #1〜3

 1話。人間サイズの猫を見た、なんて言って、誰が信じてくれるだろう。でもそんなありえない嘘を信じるところからしか、始まらないことだってある……という話を期待していたのだが微妙に外された。まあそれはそれでよし。いちいち物語上の意味なんて持たせるのは不粋ぜよ。
 「ふん。自分の言っていることを信じてもらえない子供の気持ちなんて、あんたたちにはわかんないのよ!」。芹沢さんかっこいい。はやばやと説明じみた回想が挿入されるのはいかにも野暮だが、二回死ね、はやはりよい。死ね、なんて言われたところで、そいつはただの言葉でしかないのだから言い返せる。
 2話。サークルの結成を宣言するも活動内容は不問、というのがなんだか人類学に正しい気がしてよいですね。みんなで一緒でいるためになんかやるのであってその逆でない。いずれ千世には感謝すべきことになるであろうが、とりあえず普通にいいやつである。
 3話。わりと説明不要の傑作。いいフィルムは開始三十秒でそれと知れるね! なんというか、濃密さとか、ただならぬ感じとか、そういう気配がするものだと思う。
 「二回死ね」について補足すれば、幼い文乃にとて、死ね、と言われたことは深刻だったはずなんだけど、今ではなんだか無意味な口癖みたいになっていて、なるほど生きていればそういうこともあろうと思う。
 Bパート。巧は振り向きもせず出て行く一方、文乃はいったん振り向いて玄関の鍵をかける。たぶんこの時点でもう、見えているものが違うのだ。
 とりあえず画面がいちいち綺麗である。なお内容は普通にエモい程度。
 「乙女姉さんは、迷惑をかける天才だからさ」とか、ああもう!迷惑はかけていいものだし、迷惑をかけられるのも実はそんなに悪くない。でなければ誰も猫を拾ったりできないはずだから(ドヤ
 あと、巧は文乃のことを理解しているつもりだが、実はよくわかってなくて、しかしわりと正しく振る舞えてしまう、というバランス感覚の絶妙さを称えるべきですか。称えます。