理解について語りたい。あるいは想像力と共感と傲慢さについて。むろん僕は高町なのはのことをいっているのだ。 
 ひとりきりがさびしいのは、少しだけどわかるから、と彼女はいった。「少しだけど」というのが重要で、つまりほとんどわからないのだともいえる。
 
 両親が万年新婚夫婦で、兄と姉がとても仲良しでもあれば親密な師弟関係、にある家族のなかで、彼女はたしかに「少しばかり浮いているかもしれません」。とは言い条、裕福で愛情深い家庭で育った彼女が感じていた寂しさなど、きっと他人からみれば贅沢な悩みというほかはないのだが、少しだけどわかるから、と言うのは否定したくない。もとより個々人の悩みは絶対的であり他との比較を許さないのだから。