そういえば『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』ではほとんど執拗に「父と子」というモチーフが反復される。「師弟」と並ぶ二大テーマといえよう。と考えるうちにゲームのドラクエには触れたことがないのに気付く。あとFFもだ。他人がやっているのなら見たことはあるが。僕にとってRPGメガCDの『LUNAR』である。ついでにいえばLUNAR THE SILVER STARはドラクエ的だがLUNAR2はFF的(だいたいIV以降)にみえる。たとえば前者では主人公が喋らない。
 そんなこんなでとりあえず手を出した、kagamiさんおすすめの『ドラゴン・ファタジー』を先日終えた。基本的にはドラクエであるように思う。主人公が喋らない。白痴のフール君よろしく「はい/いいえ」だけである。もっとも、どういうわけかそれで不自然に感じないのは不思議である。なにしろこちらは一言も喋っちゃおらんのに、会話していると信じ込んでいる。もっとも会話とはそういうものであるらしく、ゴダールの『映画史』によれば、『勝手にしやがれ』を編集段階で何分か短くしなければならなくなったときに、とある二人の会話の片方のセリフを全部削ってしまったとのことである(という話が保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』に載っていた)。