芥川龍之介『奇怪な再会』

 http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card77.html
 ノベルゲーム風テキストビューアで読んだらえらくハマった。
 誰も会いに来てくれないなら東京なんて森になってしまえ(違うか)。
 『伝奇ノ匣』に収められていたりもするけれど、客観的には不思議なことは何ひとつ起こっていない。でも夢幻的なイメージに圧倒される。僕が、という以前に、その夢を見ている当の登場人物が。イメージは自律的に暴走しひとを巻き込むのであるが、それは占い師の他愛ない一言がきっかけだから、言葉はイメージに先行するのである。『ONE』みたい。あと『さんさんさん』のいちめんのすすきとか。イメージは常にシニフィアンから二次的に作り上げられる、みたいな話かも。雰囲気的にはむしろ『女郎蜘蛛』の未亡人のひとのおはなしだけど。
 あと、ノベルゲームのインターフェイスは、こうした主観的な夢だか心象風景だかの描写と、えらく相性がいいように思うのだけれど、僕が馴らされてるだけかしら。

森鴎外『佐橋甚五郎』

http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/card686.html
 そんなわけで荒山伝奇のルーツをチェック。ビバ青空文庫。「実は正体は××だった」「実は生きていた」「とりあえず海峡渡っとけ」メソッド。
 柳生家の家譜等では久三郎純厳は朝鮮にて討死とあるが以下略、とかまあそういう話を、だから随分と確信に満ちて書くことができる。
 でも『雨月抄』で、柳生家の家譜にオレ柳生(矩香)が載ってる、とかいいだしたのにはびびった。