谷川流『涼宮ハルヒの憤慨』
長門さんの小説読んで「THE WARMTH OF HUMAN II」(昔麻枝准がE-Loginに載せていた『MOON.』の外伝)を思い出した。
「もう一年近くハルヒを見ていればそのくらい解る。あいつが好きなのは幽霊なんかではなく、幽霊をみんなで探すという行為なのだ。」(p296)。ええと、こういうこと?
ようやく気付いたか。聡明なハルヒは幽霊にそう簡単に出くわせるとは信じてなくて、宇宙人や未来人や超能力者についても同様である、というのが当初からの前提であり、にもかかわらずハルヒがえらく楽しそうである、というのがこれまでのお話。だから、こうなるのは必然ではあるのだけれど、なんかキョンにはそのへん気付いてほしくなかったなあ、という気がわりとします。女になるには10年早い! みたいな。男の子だけど。あとハルヒはとっくに気付いてたと思う。
(追記)
キョンは自分ばっかりがハルヒや長門のことをわかってるかのように語るけれど、実は古泉やハルヒだってキョンが気付く程度のことはとっくに気付いている、ということが示される。実はキョンはSOS団の中じゃ一番ニブちんなんじゃねえか。そういう疑いを許容ないし誘導するような書き方ができる程度には谷川流は器用である。ついでに言えば、キョンがわかるようになったのは長門やハルヒのことばかりでなく、古泉とも気がつけばツーカーだ。要するにSOS団の内部でのキョンの位置は平準化している。おそらくは、我々にそうと示されるよりずっと前から。